TPMを装備していないマシンでもBitLockerによるデータ暗号化を利用する

OS: Windows 10 version 1803
USBメモリもしくはSDカード

クライアント用にと購入されたノートPCにTPM(Trusted Platform Module)が搭載されておらず、BitLockerが使えぬと泡を食ったのであるが、TPM無しでもまったく使用できるようであるから胸をなでおろしたところである。

然し乍ら、少しばかりの設定とUSBメモリやSDカードなどの記憶媒体を要するなどすんなりとはいかないので記録しておくものである。まずはBitLockerの管理へ移る。

図1. BitlLockerの管理へ移動する

「BitLockerを有効にする」とあるから当然に使えるものだと思ってクリックする。

図2. BitLockerを有効にする

そうするとこういう仕打ちである。ポリシーの設定が必要であればその画面へ誘導してほしいけれども、そういった気配りがないのでつれない。

図3. そのままではBitLockerが使用できない様子

メッセージから察するにグループポリシーの設定を変更する必要があるように見受けられる。そこでグループポリシーエディターを起動する。

図4. グループポリシーエディターを起動

「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「BitLocker ドライブ暗号化」→「オペレーティングシステムのドライブ」と辿って「スタートアップ時に追加の認証を要求する」の編集画面へ移行する。

図5. スタートアップ時に追加の認証を要求する設定

デフォルトでは未構成になっているものを「有効」に変更する。これでTPMのないマシンでもBitLockerによる暗号化を実施できるようになった。

図6. 設定を有効にする様子

もう一度BitLockerの管理画面から「BitLockerを有効にする」を選択すると、先ほどの無慈悲なメッセージはなりをひそめて設定を進めることができる。

まずは起動時にドライブのロックを解除する方法の選択を求められる。毎回パスワードを入力するのは七面倒で肯んずることはできぬ、という思惑から「USBフラッシュドライブを挿入する」を選択する。

図7. BitLockerの設定が進められるようになった様子

予め準備しておいたUSBメモリやSDカードをマシンに接続していれば、ここでスタートアップキーの保存先ドライブとしてリストに現れる。

リストに出てこないのであればUSBメモリが壊れているとか接続ポートの調子がよろしくないとかSKYSEAによって使用できぬよう厳しく管理されているなどの原因があるものである。

図8. スタートアップキーの保存先ドライブを選択

回復キーのバックアップをどうするか選択を迫られるので要件にあった方法を選べばよろしい。Microsoftアカウントの作成予定も無く、余分なUSBメモリも手元に無く、暗号化するドライブ以外にファイルを保存するドライブも無く、プリンタの使用も制限されている環境であっても回復キーをPDFで保存するやり口で急場は凌げるようである。そこで「回復キーを印刷する」を選択する。

図9. 回復キーのバックアップ方法を指定

そして「Microsoft Print to PDF」を選択して印刷ボタンを押し付ける。通常はこれから暗号化しようというドライブに回復キーは置けないけれども、この方法なら保存が許されるのでひとまず処理は先へと進められる。

図10. 回復キーをPDFファイルに保存
図11. 暗号化する範囲を選択
図12. 暗号化モードを選択
図13. 暗号化実施前に最後の確認

あとはマシンを再起動すれば暗号化の処理が自動で始まる。

図14. 暗号化開始のために再起動を実施

進捗は、タスクバーに表示されるBitLockerのアイコンから確認できる。暗号化途中にマシンを再起動しても処理に差し障りはないので恐れずに実施すればよいけれども、起動後にBitLockerの処理が一時停止状態になっていることが多いから、処理がすすんでいるか確認をしておくのがよさそうである。

図15. 暗号化の進捗表示

タスクバーにBitLockerのアイコンが姿を表さないケースもあるから、そういう場合はコマンドプロンプトからmanage-bde -statusコマンドで確認してやればよろしい。コマンドプロンプトは管理者権限で起動しておかなければ「エラー: 必要なリソースにアクセスしようとしましたが拒否されました。コンピューターの管理権限があることを確認してください。」とにべもない。

図16. コマンドで暗号化の進捗を表示

恙無く暗号化に成功したあと、試みにスタートアップキーが保存されたUSBメモリを取り外してから起動するとこうである。思惑通り事が運んだようである。

図17. スタートアップキーを保存したUSBメモリを取り外して起動した様子

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